今回はメモリについて、シングルチャネルはさすがに標準でももう辞めましょうよという、そんなお話。
背景
以前、にそこそこ性能の Windows 機のメモリ 8GB を発注したら、
8GBメモリ1本 single-channel でビックリしたという話をした。
使っていて明らかにスペックが出ていないので気づいたのだ。
今回、予算に恵まれたのでメモリを増設した。
メモリ容量というよりも dual-channel になることを期待して。
dual-channel 化
当該PCは ThinkCentre M920q Tiny で、メモリスロットは SODIMM x2。
このうち片方に DDR4-2666 8GB が刺さっているようだ。
個人的な好みで Crucial の SODIMM DDR4-3200 8GB を購入した。
ThinkCentre Tiny は小型ながらドライバー不要で、簡単に開けて、
問題なく増設でき、OS からも正しく計16GBに認識された。
(ちなみに元々刺さっていたのは Samsung製だった)
ベンチマーク
数字は丸めてある。
GeekBench 4
single-channel | dual-channel | ||
---|---|---|---|
Single core | Total | 4520 | 4830 |
Crypto | 4570 | 4530 | |
Integer | 4920 | 5030 | |
Floating Point | 4760 | 4750 | |
Memory | 3260 | 4580 | |
Multi core | Total | 18100 | 21600 |
Crypto | 7550 | 15200 | |
Integer | 23500 | 27600 | |
Floating Point | 21800 | 24700 | |
Memory | 3260 | 5000 |
GeekBench 5
single-channel | dual-channel | ||
---|---|---|---|
Single core | Total | 1070 | 1100 |
Crypto | 1400 | 1420 | |
Integer | 1000 | 1030 | |
Floating Point | 1180 | 1200 | |
Multi core | Total | 4340 | 5360 |
Crypto | 2180 | 5030 | |
Integer | 4370 | 5240 | |
Floating Point | 4620 | 5690 |
CineBench
CineBench では変化が見られなかった。
あまりメモリ帯域を必要とする計算をしていないのだろう。
感想
上記の通り GeekBench に差が顕著で、その内訳をみると、
シングルスレッドでは差は少なく、
マルチスレッド や Crypto で差が顕著になっている。
つまりせっかくコア数を増やしたり、拡張命令で効率的にCPU側で処理を行っても、
その速い処理にメモリ帯域が追いついておらず、ボトルネックになっているのだ。
PCなどの商品説明にはCPUモデル名, コア数, クロック周波数などが書かれていないことはまず無いが、
メモリについては、メモリクロックや single/dual の区別はオザナリになっている傾向があるように思う。
しかし上記の結果に現れているようにメモリのスペック差は、
拡張命令や Hyper-Threading の有無、下手をするとコア数の違いレベル、
モデル名や i3/i5 などグレードにも匹敵するほどの性能差となって現れる場合もある。
万人に dual-channel がどーたらと分かってもらうのも無理があるのだろうから、
ここはもう Atom, Celeron-N/Jシリーズや余程の廉価版でも無い限り、
Core/Ryzen シリーズなら、single はもう辞めて標準で dual-channel にしてもらいたいものだ。
モデル名のちょっとした違いに投資するより、よっぽど(実)コスパは良くなるのだから。
メモリチャネルの認知度
どれくらいこの差が世の中に認識されていないのか。
私は自作PC系の動画をみるのが好きで、時々 youtube などで見てますが、
「新発売された xxx を早速レビュー!」みたいのが結構あります。
そこでベンチマークをしてこの製品は〜、あの製品はコスパが...と解説してくれます。
自分で全て手にしてチェックできる訳では無いので、割と楽しんで見ています。
その中で割と良くあるのが、お金や予備が無いのでメモリはひとまず1本で。。。というパターン。
10万円する CPU/GPU のレビューと銘打っていても、結局メモリ1本のボトルネックを見せているだけだったり。
また、他と差別化して、注目を集めるために慣れない Xeon/Threadripper/EPYC に頑張って手を出していても、やはりメモリは2本だったり。
そこはケチらずに、dual-channel 以上もあるのでしっかり4枚, 6枚, 8枚単位でメモリを用意してもらいたい。
世間的には "PCに詳しそう" に見える彼らでも、その程度の理解度ということだ。
だからこそ7万とか10万以上するような市販のPCは、変にシングルチャネルなど辞めて、
当たり前に標準でデュアルチャネルにしてもらいたいのだ。
まさかPCメーカーの設計をやっている人が、この違いを分からないでやっている訳では無いのだろうから。